
【ニューデリー=岩田智雄】アフガニスタンの首都カブールの高級ホテルで20日に起きたテロで、アフガン人記者家族が殺害され、支援活動のために滞在中の外国人も犠牲になった。4月5日投票の大統領選を前に、イスラム原理主義勢力、タリバンは政府関係者や治安部隊に加え、外国民間人やメディアへの攻撃を強めている。政府の治安維持能力の信頼失墜を狙っているもようだ。
殺害されたフランス通信(AFP)の記者、アフマド氏(40)とその妻、6歳と5歳の子供2人の葬儀は23日、カブール市内で行われた。テロがあったセレナホテル内のレストランで襲撃を受け、頭などを撃たれて死亡。2歳のもう1人の子供だけが殺害を免れたが、重傷となっている。
アフマド氏のおいはAFPに、カルザイ大統領がタリバンを「兄弟」と呼んで和解を呼びかけていることに「大統領は4つの棺と子供たちの亡きがらをみるがいい」と反発した。
死亡した外国人のうち、カナダ人2人はアフガンの子供の教育に携わり、パラグアイ人元外交官は選挙監視のため滞在していた。
当局はテロ犯4人が靴下の内側や靴底に拳銃や弾を隠し、ホテルの金属探知機による検査をかいくぐったとしているが、どうやって武器の発見を免れたのかは不明のままだ。
現地では、「ホテル内に協力者がいたとしか思えない。別途、武器が持ち込まれたのではないか」との指摘もある。セレナホテルは2008年にも自爆テロがあった。日本大使館は事前にこのホテルへのテロ情報をつかみ、在留邦人に警告していただけに、当局やホテルの治安対策を疑問視する声が高まっている。
カブールでは11日にもスウェーデン・ラジオの記者が射殺され、タリバンの分派が犯行を認めた。この記者は1月にレバノン料理店で国連職員ら外国人13人を含む21人が殺害されたタリバンの自爆テロを取材中に犠牲になった。
タリバンはテロの標的を「すべての選挙従事者、活動家、来訪者、治安機関とその施設」と表明しており、今後も民間人を狙ったテロの発生が懸念される。