
「日本人の私が韓国で10年以上も韓国史を教えるのは容易ではなかった。それでも、振り返ってみれば幸せな経験だった」
先月末、成均館大学の宮嶋博史教授(66)が定年を迎えた。宮嶋教授は2002年から12年間、成均館大学東アジア学術院で大学院生を教えた。宮嶋教授は、京都大学で博士課程(東洋史学)を修了した後、東海大学・東京大学などで研究員・教授を務め、韓国へやって来た。
「故郷(大阪)には在日韓国人が多い。幼いころから韓国に関心を持っていた」。宮嶋氏は学部生時代に韓国史を専攻すると決心したが、教授がおらず、ほとんど独学だった。大学院生時代には、在日韓国人の歴史学者、姜在彦(カン・ジェオン)教授の「朝鮮史研究会」に参加した。
修士論文は「甲午改革から1910年までの三南地域(忠清・全羅・慶尚)を中心とした韓国の農業生産の変化」。韓国語もそのとき学び、今では流ちょうに操る。
「韓・中・日を併せた東アジア史を研究したかったが、日本では難しかった」。その理由は、日本史・東洋史・西洋史を徹底して分離してきた日本の風土にあるという。自分の「小農社会論」が批判されるのもつらかった。「小農社会論とは、16-19世紀の韓・中・日はいずれも家族単位の農民を中心とする社会だった、という理論。小農は、働いた分だけ稼ぐという『資本主義の潜在力』を持っていた」。日本の歴史学界は、封建制を経てこそ近代化が可能という立場を取っていた。そのため、江戸時代に封建制を経た日本がいち早く近代化できたとする。これに対し宮嶋教授は、韓・中・日がいずれも小農という近代化の原動力を有していたと主張した。自由な環境を探していた宮嶋教授は、李栄薫(イ・ヨンフン)成均館大学教授(当時)の紹介で同大学にやって来た。しかし韓国の教授らも、宮嶋教授が韓国史を講義することに反対した。「韓国も、日本が主張する枠組みの中で『朝鮮にも封建制があった』という根拠を探していた時代だった。それなのに私が小農社会を主張するので『朝鮮には封建制がないという日本の主張を認めさせようとしているのでは』と疑われた」
歴史学者として宮嶋教授は、日本の右傾化は日本ためにもならないと懸念した。「20年を越える不況に大震災や放射能への恐怖まで重なり、社会が大きな危機に直面した。これを打開しようとして、政権は外に目を向けた。右寄りの教育で若い層が保守化した点も大きい」
宮嶋教授は昨年、韓国で著書『日本の歴史観を批判する』(創作と批評社)を出版した。「日本の歴史観は、根本部分が間違っていた。右翼はいうまでもなく、韓国侵略を認める進歩的研究者も間違っていた。日本を歴史の主体、韓国を客体と考える限界があるからだ」。韓中日どれも対等とみる歴史観が必要だという。
宮嶋教授は、韓国人の学生2人を博士に育て上げた。しかしこの2人の専攻は、韓国史ではなく日本史だ。宮嶋教授は2年間、東アジア学術院で特任教授を務める。その後の計画はない。「韓国人の妻とゆっくり過ごします。国際結婚はなかなか容易ではありません。今でもときどきけんかをします。韓国の女性、強いですよね」
【台北=吉村剛史】東日本大震災による東京電力福島第1原発の事故から3年を迎えるのに合わせて8日、民間団体による大規模な反原発デモが台北や台中、高雄など台湾各地で行われた。デモは昨年も行われた。台北では野党幹部らも参加し、「原発ゼロヘ」「第二の福島はいらない」などと書かれたのぼりや横断幕を手に市内を行進した。
馬英九政権は、北部で建設中の第4原発について、2016年をめどに商業運転開始を目指しているが、野党や市民団体などから建設中止を求められている。
今後数年間に経済成長著しいアジアで新たに数千人以上の大富豪が現れる、と聞いても驚くには当たらない。高級ブランドメーカー、不動産業者、プライベートバンカー、そして大金持ちとの結婚に憧れている人たちにとって、重大な問題は彼らが一体どこにいるのかということだ。
ホーチミン、ジャカルタ、ムンバイ、そして中国の主要都市を見てみよう。
英不動産代理店ナイト・フランクのウェルス・レポート最新版によると、2013年の世界の超富裕層個人は16万7669人だった。ナイト・フランクは超富裕層の定義について、3000万ドル(約31億円)以上の資産(債務を差し引き、主たる住居を除く)を保有する者としている。23年には28%増加し、21万5113人に達するとみている。
そして、その大半はアジアから生まれる。アジア域内の超富裕層は23年までに13年比43%増の5万8588人に達し、北米を追い越す見通しだ。北米の超富裕層は23年までに同20%増の5万2536人になると予測されている。
超富裕層の増加率が最も高くなるとみられる都市はホーチミンだ。ナイト・フランクの予想では、ホーチミンの超富裕層は13年の90人から、23年には2.73倍の246人に増加する見通し。
ジャカルタとムンバイでも大幅な伸びが見込まれている。ジャカルタでは2.48倍の857人に、ムンバイでは2.26倍の1302人に増加するとみている。
中国経済の2桁成長時代は終わったもようだが、中国は今後も大量の富裕層を生み出す見通しだ。中国では向こう10年間で超富裕層が80%増の1万4213人に達し、米国、日本に次ぐ世界3位に浮上するとみられる。
中国国内で超富裕層が急増している都市としては杭州や上海、北京が挙げられる。23年までに杭州では現在の563人から78%増の1002人に、上海では50%増の1542人に、北京では42%増の1872人になる見通しだ。
ただし、中国の都市がすぐにもニューヨークやロンドンのライバルとなるわけではない。(例えばロンドンの超富裕層は4224人。23年には17%増の4940人となる見通し)しかし、考えてみて欲しい。杭州は中国の技術の拠点として発展し、10年後には超富裕層の数がロサンゼルスを追い抜く可能性がある。そのときには我々はビバリーヒルズよりも莫干山に憧れを抱くようになるかもしれない。