
法務部(省に相当)の諮問機関である証券関連集団訴訟法改正委員会は集団訴訟制度について、企業による入札や談合などの汚職にも拡大して適用する案を先日法務部に提出した。現在集団訴訟制度は証券分野においてのみ可能と定められている。
先日の顧客情報流出事件のように、消費者1人当たりの被害額はせいぜい数百万ウォン(100万ウォン=約9万6000円)程度であったとしても、その人数が数百万人に達するような大規模事件が増加している。集団訴訟制度とは、企業の違法行為により損害を被った被害者の中から、数人が代表者となって訴訟を起こし、これに勝訴すれば残りの被害者たちも賠償を受けられるようにする制度だ。少額の被害者にとっては、個別に訴えを起こさなくとも救済を受けられるという利点がある。
米国では1960年代から集団訴訟制度の適用範囲が拡大され、環境・労働・独占・製造物責任に伴う消費者被害など、さまざまな分野でこれが適用されている。1990年代初め、乳房拡大手術に使用されるシリコンジェルの副作用と関連する集団訴訟が相次いだが、これなどはその典型的なケースだ。米国の裁判所は当時、集団訴訟制度を利用し200万人の被害者に総額3兆ウォン(約2900億円)以上の賠償をするよう、シリコンジェル・メーカーに命じた。韓国国内では2005年、株価操作や虚偽の公示、粉飾会計による小口株主の被害に対してのみ集団訴訟が認められた。その後、4件の集団訴訟が裁判所で受理されたが、最終的に判決が下されたものはまだ1件もない。
公正取引委員会は2012年までの5年間、中学や高校の制服、インスタントラーメン、ガソリン、通信費などの価格設定で談合を行った976社の企業を摘発し、総額で3兆ウォンを上回る課徴金を科したが、それでも談合などの違法行為が今も繰り返されている。しかも高額な制服代を支払った消費者は救済を受ける道もない。金融機関からの顧客の個人情報流出問題も、政府当局の監視だけでは限界があることが明らかになった。政府が企業に行政面での制裁を加える場合であっても、消費者には訴訟によって賠償を受けることができる道を整えておかねばならない。それには談合などに伴う不特定多数の損害に対し、被害者が補償を受けやすくするため、集団訴訟が可能な範囲を拡大することが望ましいだろう。
ただし集団訴訟制度を拡大すれば企業の活動が萎縮し、弁護士が共謀する「企画訴訟」などが増え、堅実な企業にとっても新たな脅威となる恐れがある。訴えられた企業が後に責任のないことが明らかになっても、訴えられるだけで回復不可能なダメージを受けることもあるかもしれない。行き過ぎた訴訟を防ぐには、裁判所が訴えの直後から積極的に介入し、訴訟の条件に見合っているかを見極める仕組みを強化する必要があるだろう。