
■原発風評で宿泊客減少
東日本大震災に伴う原発事故の風評被害で宿泊客減少に苦悩する那須町のペンションが、全国の小中高校の修学旅行誘致に取り組んでいる。那須高原ペンション協同組合が昨年から営業活動を開始し、今年は熊本県と滋賀県の高校2校が宿泊。今月、第1陣となる初の修学旅行生が到着した。
3日夕、那須町高久乙のペンション「おかざき」。熊本県八代市にある私立八代白百合学園高校1年の女子生徒17人が到着した。
「いらっしゃいませ」。時折雪が舞う中、30分前から生徒たちの到着を待っていたオーナーの岡崎良三さん(65)は笑顔で声をかけた。
この日、同町内に宿泊したのは約160人。日光を見学した後、ペンション8軒に分宿した。初めて雪景色を目にする生徒は「寒いけど雪がきれい」。修学旅行の目的の一つは被災地学習で、翌日は仙台市に向かった。
那須高原ペンション協同組合理事長の岡崎さんは修学旅行などの教育旅行誘致を推進してきた一人。昨年、滋賀県の高校まで営業活動に出かけた。
同町には約150軒のペンションがあり、全国の自治体で最も多いという。宿泊客もピーク時の平成11年は約30万人に上ったが、震災のあった23年には13万人と激減した。ペンション利用客は首都圏が中心で、特に子供を持つ家族連れが多い。同町の大半は福島第1原発から100キロ圏内で、原発事故後は放射能問題が大きく影を落とした。また、震災後、ホテルなどが宿泊料を下げていることも響いている。
岡崎さんによると、宿泊客は今も震災前の4割減で「首都圏から宿泊客は戻っていない」。この状況を打開しようと、同組合は修学旅行や合宿でペンションを利用してもらおうと、教育旅行の誘致に乗り出した。昨年、営業を始め、修学旅行2校の誘致に成功。今回に続いて11月には滋賀県の県立高校の生徒約130人が分宿する予定だ。
同組合では今後、専用のパンフレットを作成する。岡崎さんは「まだ風評被害が続いている。今後も営業を続け、ペンションに宿泊する教育旅行を定着させたい」と話す。同町観光協会も4月、教育旅行誘致推進委員会を発足させる。那須全体で誘致に向けた動きが加速しそうだ。(伊沢利幸)