■「続・最後から二番目の恋」
フジテレビ、木曜午後10時
「再び千明役を演じることができて、うれしく思います。ただ、前作で(視聴者が)楽しんでくれたことに甘えず、新しい気持ちで臨まないと、私の“男気”が許せない。その辺りを気を付けて演じています」
鎌倉を舞台に大人の揺れる心情を細やかに描いたドラマの続編。テレビ局に勤務する吉野千明について「48歳の女で独身で、社会の中である程度の地位を得て、でも未来や現状に多少の不安を抱きながら生きている。役のプロフィルなのに、私もそのまま同じ経験をしている気がします。なんででしょう?」。こう語り、明るく笑う。
物語は千明と、隣に住む鎌倉市職員、長倉和平(中井貴一)の恋愛を軸に展開する。今作は昔、千明を捨てた「ポストイットの彼」が登場するが、この元カレとのやりとりを通じ、「なぜ千明が独身なのかがよく分かった」という。「こっぴどく自分を振った男が目の前に現れたのに、千明の対応は優しすぎる。ダメだ、そこで男気を出しちゃ!」
会話劇もドラマの魅力だが、実際に演じるのは大変なようで、「(脚本が)ありえないページ数。毎回舞台の初日を迎えるような気持ち」だという。おしゃれな店で食事やワインを楽しむ女子会シーンに関しては、「トレンディードラマっぽいよね。バブル世代の私たちが出るからこそ、皮肉も含めて面白くできるんだと思います」と話す。
昨年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」では、ヒロインの母親の春子役を好演。春子と千明で共通しているのが「ヤンキー口調」だ。「脚本家やプロデューサーがそういうイメージを持っているのは私の責任。(払拭するための)キャンペーンを始めたい。良妻賢母も演じてみたいです」と笑わせた。
「何の事件も起こらないドラマですが、その地味な物語をエンターテインメントとして成立させるため、いろいろと仕掛けを考えています。懲りずに見てくださいね」。何度も「男気」を強調していたが、笑い方からせき払いまで、しぐさの一つ一つが実にかわいらしい。20代後半の記者は、「キョンキョン」の偉大さを思い知った。(本間英士)
<こいずみ・きょうこ>昭和41年生まれ。神奈川県出身。昭和57年にアイドル歌手としてデビューし、「なんてったってアイドル」「学園天国」などヒット曲多数。女優としてはドラマ「愛しあってるかい!」「恋を何年休んでますか」などに出演した。趣味は読書やドラマ・映画鑑賞。最近面白いと思った映画は「仁義なき戦い」シリーズ。