
原爆症認定の基準をめぐっては、申請を却下された被爆者らが平成15年以降に起こした集団訴訟で国の敗訴が続き、改正されてきた経緯がある。基準は昨年12月に新たに見直されたが、今回は、見直す前の旧基準の是非が争われた訴訟の判決で、大阪地裁が新基準に事実上「ノー」を突きつける結果を出した。司法判断と、国の対策の乖離(かいり)がより一層浮かび上がった形だ。
厚生労働省は13年、放射線の影響で特定の病気になる確率を数値化した「原因確率」を導入。しかし、集団訴訟で国敗訴が相次いだことから、20年に原因確率を用いず一定の条件を満たせば積極認定する基準を導入した。しかしその後も申請を却下されるケースが相次ぎ、却下された被爆者が処分取り消しを求めた訴訟では、国が敗訴するケースが続いた。
昨年12月に見直された新基準は、非がん疾病について「放射線が原因だと認められる」との条件を削除。一方で、被爆地点までの距離や入市時期の目安を「爆心地から約2キロ以内で被爆」などと狭めた上で、積極認定するとした。
厚労省によると、原爆症認定を求め各地で訴訟を起こしている原告95人を新基準で再審査した結果、16人が認定され、73人は該当しないと判断された。残りは結論が出ていない。全国弁護団長の藤原精吾弁護士は「国は被爆距離などを機械的にあてはめて判断するのでなく、被爆状況や健康状態を総合的に検討して判断すべきだ」としている。