
「すでに静岡地検が釈放を指揮した。釈放を止めることはできない」。27日午後に報道陣の取材に応じた東京高検の青沼隆之次席検事は淡々と話した。
静岡地裁は同日、袴田巌さんの再審開始とともに身柄拘束の執行停止を決定した。静岡地検は地裁に執行停止を取りやめるよう申し入れたが地裁は拒否。地検は釈放指揮に追い込まれた格好だ。「不服ではあるが、決定には従わざるをえない」(検察幹部)
再審開始について、静岡地検は期限となる31日までに、決定を不服として即時抗告する方針。即時抗告されれば審理は東京高裁に移される。
別の検察幹部は「証拠が捏造であると指摘されたうえ、再審を認める決定が出たことは衝撃だ」と話すが、再審開始決定後に名古屋高裁が再審開始決定を取り消した名張毒ぶどう酒事件を引き合いに出して、「高裁で判断が覆る可能性は十分にあるのではないか」とみる。
高裁での決定については、検察側、弁護側ともに最高裁に特別抗告を申し立てることが可能だ。最高裁の特別抗告審で判断が確定するが、さらに審理を高裁に差し戻す可能性もあり、最終結論までは長期化もあり得る。
昭和56年から始まった袴田さんの第1次再審請求では請求棄却の確定まで27年かかっている。法務省幹部は「ここまでの長期化はないかもしれないが、検察側としては主張することはきちんと主張していく」と話している。