
ITの総合展示イベント「2014 Japan IT Week 春」が5月14日、東京ビッグサイトを会場に開幕した。イベントの1つである「情報セキュリティEXPO」には今年も多数の企業が出展。各社の訴求で新たに注目されたのが、サイバー攻撃など脅威による被害を受けた後の対応を支援するという新製品だ。
トレンドマイクロが参考展示した「Trend Micro Deep Discovery Endpoint Sensor(仮称)」は、同社の標的型サイバー攻撃対策ソリューションと連携して、クライアントPCなどの被害状況を迅速に把握できるための仕組みを提供するという。
標的型サイバー攻撃は、攻撃者が社内のコンピュータを踏み台にして徐々に攻撃範囲を広げていくことが知られる。被害抑止では踏み台にされたコンピュータを迅速に特定して対処することが必要になるが、コンピュータが多数稼働している大規模企業などでは、これを調べるだけでも大変な作業になってしまう。
同社は既にネットワークやサーバで不審な通信やファイルなどの脅威を検知する仕組みを提供。Endpoint Sensorはこれと連携し、踏み台にされたとみられるコンピュータの洗い出しやそのコンピュータ上で行われた活動、ほかに被害を受けたコンピュータの捜索といった対応を支援できるとしている。
マクニカネットワークスは、ログ管理・分析ツールのSplunkやFireEyeの脅威解析システムを使って、標的型サイバー攻撃の状況を詳細に解析していく方法を紹介した。FireEyeで解析された不審なファイルや通信の挙動に関する情報と、企業や組織で保存している大量のログ情報の相関関係を分析することで、過去に遡って脅威の動向を把握していけるという。
これは「SIEM(セキュリティインシデント・イベント管理)」ソリューションとも呼ばれ、セキュリティベンダー各社が注力している分野の1つ。同社担当者によれば、SIEMは特に未知の脅威を迅速に検知できる点で有力な手段になると説明する。ただし、実際の被害状況などを詳細に調べていく上では、セキュリティ関連のログ以外に、ITシステム全体の膨大な種類と量のログを一緒に分析しなくてはならないという。
同社の分析デモでは最初の検知をきっかけに、過去に同様の不正通信があったかどうかや、攻撃者に踏み台にされたコンピュータが不正ログインを試したり、ファイルサーバにアクセスしたりといった履歴をグラフィカルレポートで瞬時に通知する様子を披露している。
脅威の検知後に迅速に防御を講じる仕組みとして、マカフィーは「Security Connected」というフレームワークに基づくソリューションを出典した。Security Connectedは、ネットワークやエンドポイントなどの各種対策を相互連携させて防御レベルを高める仕組みを提供しているという。
ブースでは脅威解析の「Advanced Threat Defense(ATD)」や次世代ファイアウォールなどを出展。ATDで検知した脅威情報をIPSやメール/Webセキュリティ製品へ迅速に反映させて脅威を遮断できるようにしているが、2014年中には次世代ファイアウォールとの連携、また、被害を受けたコンピュータの復旧なども可能にしていくという。
2014 Japan IT Week 春は5月16日まで開催されている。
NTTドコモは14日、2014夏モデルのスマートフォン・タブレット新製品、および「VoLTE」による通話サービスの発表会を開催した。同社社長の加藤薫氏は発表会後に記者からの囲み取材に応じた。発表会壇上での質疑応答の内容と合わせて紹介する。
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――他社に先駆けてVoLTEを導入した意図は。音声通話の利用が減少していると言われているが、VoLTEにより挽回できるのか。
本日に先立って発表した新しい料金プランではカケホーダイというサービスを用意した。もう一度「音声通話」をコミュニケーションの基本として見直してもらいたいという気持ちを込めている。よりクリアな音声品質で通話ができる点がキー。確かに利用数は減少し続けているが、VoLTEのクリアな音質を体験していただければ、音声通話がもう一度魅力的に感じられると思う。その時にはカケホーダイである価値も活きてくるはず。
――VoLTEは対応端末どうしでないとメリットが得られないが、PHSや固定回線と通信したときにも高品位な接続ができるようになるのか。
コーデックの関係で結果として高音質になるものなので、基本は対応端末どうしが条件になる。
――VoLTEのビデオコールが発表されたが、3G時代にもビデオ通話は余り使われていなかったように思う。今回始めるにあたって、どんな工夫をするのか。FOMAや他社のビデオ通話とも使えるのか。
VoLTEの端末どうしでしか使えない。キャラ電などオプションサービスについてはこれから考える。過去のビデオ通話と違うのは、画面が大きくなって通信品質も上がったスマートフォンだからこそ楽しめる世界があると思う。過去と状況が変わってきている。
――VoLTEで音声通話中に4Gから3Gへ切り替わったときには通話状態は引き継がれるのか。
引き継がれる。
――他社のVoLTE網との接続は可能になるのか。
これはやっていく必要がある。テストをしていきたい。
――VoLTE対応端末はどれくらい売れるとみている。
数は申し上げられない。6月1日から新料金が始まるのにともなって、高品位な音声通話の魅力が口コミで広がりながらVoLTEユーザーが増えていって欲しい。
――6月下旬にVoLTEということだが、正確な日付は絞れないのか。
まだネットワークと端末間の最終チェック段階。半月前ぐらいには公表したい。
――新料金プランの発表後の引き合いは。
色んな意見をいただいているが、iPhone投入時と同じぐらいポジティブな反応。数も多い。まだ魅力を伝え切れていない部分もあるだろうが、CM等でさらに認知を広めていきたい。
――新料金プランとVoLTEによる音声通話の品質向上は固定電話の契約者減に影響しないのか。
固定電話はある部分でモバイルと競合する部分もあろうが、一方では家庭に1本固定回線を引いておきたいという方も多いはず。実際にモバイルとどちらをより頻繁に使うようになるかについては、今後利用のされかたに差は出てくるかもしれない。
――VoLTEの登場により周波数利用効率が上がって、特にデータ通信の品質に好影響があるということだが、どの程度の効果とみている。
例えば2GHz帯では5MHz幅を4バンド持っているが、うち一つをLTEの方に回せるということを考えている。数値的なものをいま計算して公開するということは考えていない。
――今回は特におすすめの端末はあるのか。
全部だ。それぞれに特徴があるので、自分に合ったものを選んでいただけるようになっているはず。
――タブレットなどとマルチデバイス化を推進していく中で、魅力的なキャンペーンの計画はあるのか。
新料金プランの中でマルチデバイス化を推進する施策もある。他には特に現時点で実施を考えているものはない。今後のお客様の要望には注視していきたいと思う。
――KDDIはWiMAX2とキャリアアグリケーションを組み合わせてきたが、ドコモのネットワーク戦略は。
基本は150Mbpsのシングルで行く。年内にはカテゴリー6/220Mbpsのスピードに対応する。GALAXY S5はハイブリッドダウンロードにも対応している。
――以前は1年に1回出すと宣言していたフィーチャーフォンが、今回冬春に続いて夏にも発表されたがその意図は。
柔軟に対応してみた。フィーチャーフォンを期待する声もまだあるので、少なくとも今後年1回は出していきたいと思っている。
――Wi-Fiへのオフロードはどう進めていく。LTEとの棲み分けは。
これからも重要だと思っている。特に家の中では映像サービスなど中心にWi-Fiが良いだろう。そういう意味では光とのコラボモデルが大きく意味を持っている。
――ドコモWi-Fiを広げていく考えは。
ある程度広げてきたので、今後も要望を聞きながら対応したい。
――他社からの乗り換えインパクトをどうみている
たくさん戻ってきて欲しい。やはり特定の障壁があるので、それをできるだけ低くしていきたい。
――NOTTV用チューナーBOXが発売されるが、これまでのNOTTVの評価と今後の見通しは。
NOTTVはもう少し使ってもらえると考えている。頑張ってコンテンツも作っている。一方で非搭載の端末もある。家庭のテレビでの活用も含めて、NOTTVの魅力をアピールしながらユーザーを増やしていきたいと考えて、今回はTV BOXを発表した。
――他社で電子マネーのサービスを発表したが、ドコモは決算サービスをどうしていく。
一定の所まで大成長している。さらに全体を見たらプリペイドもあるし、ドコモポイントを拡大していくことも重要。
――昨日NTT東西が光回線の卸売りのサービスを始めるという発表があった。モバイルと光回線の組み合わせでどんなサービスが展開できると考えている。
これから前向き、かつ具体的に検討していきたい。お客様から見た時に、ブロードバンドの通信環境はLTEや次世代のLTE-Advancedに入ってきている。固定回線と使い勝手の面でほぼ差はない。光も含めて、全体的にブロードバンドの高品質なICT環境を提供できるのであれば、お客様に喜んでいただけるとだろう。これから智恵を出していきたいと思っている。
――ひかりサービスとのセット割は検討しないのか。
これからどれくらいの規模が見越せるのかを検討したい。コンセプトやフレームワークを、色々な要望をうかがいながら構築していく。
――Windows PhoneやTizenの状況はどうか。また今後新製品発表会は行っていくのか。
検討は続けているが、いま申し上げることはない。発表会については、発表に値するサービスや端末を出していきながら続けたいと思っている。
――スマートフォン市場が縮小するという調査会社のデータもあるが、マーケット全体をどう見ている。どうやってスマートフォン端末での純増を実現するのか。
市場そのものは13年度後半からMM総研などが見通しを下げつつあるが、13年後半は実際にそうだったと思う。そこで私たちは新料金プランを出した。2台目・3台目が追加しやすくなるだろう。また若い人が導入しやすい工夫も行っている。料金制度からのアプローチにより、需要を掘り起こしていく。今日発表した端末は機能・性能が高く個性的。市場を活性化する牽引車になるだろう。
YelpがOpenTableやTrip Advisorの事業分野に食いこむ可能性が出てきたようだ。レビューサイトのYelpは米国時間3月13日、同社ウェブサイトからレストランの予約が直接取れるようにする無料ツールの提供を開始した。
「Yelp Reservations」と名付けられたこのサービスを利用することで、ユーザーは自分のモバイル端末やデスクトップコンピュータからYelpが表示する店舗一覧から予約することができる。また、テキストメッセージでリマインダを受け取れるほか、テキストを介して予約をキャンセルしたり、変更したりすることも可能だ。
同社はブログ投稿で、次のように記している。「Yelpは、地元の素晴らしいビジネスを見つけるためだけではなく、消費者がこのサイトから一切離れずにそうしたビジネスと取引することも支援する。より多くの飲食店がこの新しい無料ツールを利用するにつれて、Yelp上でオンライン予約をする際の選択肢が増えることが期待できる」
Yelpは既に「Yelp SeatMe」による予約サービスを提供している。SeatMeはYelpが2013年に買収した新興企業だ。ただし、Yelp Reservationsは、Yelp SeatMeほどの規模を必要としていない、小規模であまり知られていないレストランでも登録することができる。
Yelp Reservationsはレストランやナイトライフのカテゴリに属すビジネス向けに、米国、カナダ、英国、アイルランドで利用可能となっている。それ以外の国々での展開時期は明らかになっていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。