NTTドコモは14日、2014夏モデルのスマートフォン・タブレット新製品、および「VoLTE」による通話サービスの発表会を開催した。同社社長の加藤薫氏は発表会後に記者からの囲み取材に応じた。発表会壇上での質疑応答の内容と合わせて紹介する。
他の写真を見る
――他社に先駆けてVoLTEを導入した意図は。音声通話の利用が減少していると言われているが、VoLTEにより挽回できるのか。
本日に先立って発表した新しい料金プランではカケホーダイというサービスを用意した。もう一度「音声通話」をコミュニケーションの基本として見直してもらいたいという気持ちを込めている。よりクリアな音声品質で通話ができる点がキー。確かに利用数は減少し続けているが、VoLTEのクリアな音質を体験していただければ、音声通話がもう一度魅力的に感じられると思う。その時にはカケホーダイである価値も活きてくるはず。
――VoLTEは対応端末どうしでないとメリットが得られないが、PHSや固定回線と通信したときにも高品位な接続ができるようになるのか。
コーデックの関係で結果として高音質になるものなので、基本は対応端末どうしが条件になる。
――VoLTEのビデオコールが発表されたが、3G時代にもビデオ通話は余り使われていなかったように思う。今回始めるにあたって、どんな工夫をするのか。FOMAや他社のビデオ通話とも使えるのか。
VoLTEの端末どうしでしか使えない。キャラ電などオプションサービスについてはこれから考える。過去のビデオ通話と違うのは、画面が大きくなって通信品質も上がったスマートフォンだからこそ楽しめる世界があると思う。過去と状況が変わってきている。
――VoLTEで音声通話中に4Gから3Gへ切り替わったときには通話状態は引き継がれるのか。
引き継がれる。
――他社のVoLTE網との接続は可能になるのか。
これはやっていく必要がある。テストをしていきたい。
――VoLTE対応端末はどれくらい売れるとみている。
数は申し上げられない。6月1日から新料金が始まるのにともなって、高品位な音声通話の魅力が口コミで広がりながらVoLTEユーザーが増えていって欲しい。
――6月下旬にVoLTEということだが、正確な日付は絞れないのか。
まだネットワークと端末間の最終チェック段階。半月前ぐらいには公表したい。
――新料金プランの発表後の引き合いは。
色んな意見をいただいているが、iPhone投入時と同じぐらいポジティブな反応。数も多い。まだ魅力を伝え切れていない部分もあるだろうが、CM等でさらに認知を広めていきたい。
――新料金プランとVoLTEによる音声通話の品質向上は固定電話の契約者減に影響しないのか。
固定電話はある部分でモバイルと競合する部分もあろうが、一方では家庭に1本固定回線を引いておきたいという方も多いはず。実際にモバイルとどちらをより頻繁に使うようになるかについては、今後利用のされかたに差は出てくるかもしれない。
――VoLTEの登場により周波数利用効率が上がって、特にデータ通信の品質に好影響があるということだが、どの程度の効果とみている。
例えば2GHz帯では5MHz幅を4バンド持っているが、うち一つをLTEの方に回せるということを考えている。数値的なものをいま計算して公開するということは考えていない。
――今回は特におすすめの端末はあるのか。
全部だ。それぞれに特徴があるので、自分に合ったものを選んでいただけるようになっているはず。
――タブレットなどとマルチデバイス化を推進していく中で、魅力的なキャンペーンの計画はあるのか。
新料金プランの中でマルチデバイス化を推進する施策もある。他には特に現時点で実施を考えているものはない。今後のお客様の要望には注視していきたいと思う。
――KDDIはWiMAX2とキャリアアグリケーションを組み合わせてきたが、ドコモのネットワーク戦略は。
基本は150Mbpsのシングルで行く。年内にはカテゴリー6/220Mbpsのスピードに対応する。GALAXY S5はハイブリッドダウンロードにも対応している。
――以前は1年に1回出すと宣言していたフィーチャーフォンが、今回冬春に続いて夏にも発表されたがその意図は。
柔軟に対応してみた。フィーチャーフォンを期待する声もまだあるので、少なくとも今後年1回は出していきたいと思っている。
――Wi-Fiへのオフロードはどう進めていく。LTEとの棲み分けは。
これからも重要だと思っている。特に家の中では映像サービスなど中心にWi-Fiが良いだろう。そういう意味では光とのコラボモデルが大きく意味を持っている。
――ドコモWi-Fiを広げていく考えは。
ある程度広げてきたので、今後も要望を聞きながら対応したい。
――他社からの乗り換えインパクトをどうみている
たくさん戻ってきて欲しい。やはり特定の障壁があるので、それをできるだけ低くしていきたい。
――NOTTV用チューナーBOXが発売されるが、これまでのNOTTVの評価と今後の見通しは。
NOTTVはもう少し使ってもらえると考えている。頑張ってコンテンツも作っている。一方で非搭載の端末もある。家庭のテレビでの活用も含めて、NOTTVの魅力をアピールしながらユーザーを増やしていきたいと考えて、今回はTV BOXを発表した。
――他社で電子マネーのサービスを発表したが、ドコモは決算サービスをどうしていく。
一定の所まで大成長している。さらに全体を見たらプリペイドもあるし、ドコモポイントを拡大していくことも重要。
――昨日NTT東西が光回線の卸売りのサービスを始めるという発表があった。モバイルと光回線の組み合わせでどんなサービスが展開できると考えている。
これから前向き、かつ具体的に検討していきたい。お客様から見た時に、ブロードバンドの通信環境はLTEや次世代のLTE-Advancedに入ってきている。固定回線と使い勝手の面でほぼ差はない。光も含めて、全体的にブロードバンドの高品質なICT環境を提供できるのであれば、お客様に喜んでいただけるとだろう。これから智恵を出していきたいと思っている。
――ひかりサービスとのセット割は検討しないのか。
これからどれくらいの規模が見越せるのかを検討したい。コンセプトやフレームワークを、色々な要望をうかがいながら構築していく。
――Windows PhoneやTizenの状況はどうか。また今後新製品発表会は行っていくのか。
検討は続けているが、いま申し上げることはない。発表会については、発表に値するサービスや端末を出していきながら続けたいと思っている。
――スマートフォン市場が縮小するという調査会社のデータもあるが、マーケット全体をどう見ている。どうやってスマートフォン端末での純増を実現するのか。
市場そのものは13年度後半からMM総研などが見通しを下げつつあるが、13年後半は実際にそうだったと思う。そこで私たちは新料金プランを出した。2台目・3台目が追加しやすくなるだろう。また若い人が導入しやすい工夫も行っている。料金制度からのアプローチにより、需要を掘り起こしていく。今日発表した端末は機能・性能が高く個性的。市場を活性化する牽引車になるだろう。