アップルが新たに投入した「MacBook Air」は、Haswell Refreshと呼ばれる新CPUを採用しつつ、11インチの下位モデルで税別8万8000円からと、従来よりも価格を下げているのがトピックだ。
【画像:CINEBENCH R11.5の結果】
もっとも、かねてよりウワサになっていた液晶ディスプレイのRetina化は見送られ、大きな変更点はCPUのみ。それも100MHz程度のクロックアップに過ぎず、基本的なアーキテクチャや、アルミユニボディを引き継ぐマイナーチェンジともいえる。このため、そもそもHaswell Refreshで本当に速くなったのかを気にしている人も多いだろう。測定器を使った液晶の品質やボディの発熱などについては改めて触れることにし、ベンチマークソフトを使って新旧MacBook Airの性能を見ていく。
今回試したのは、8万8000円(税別)という手ごろな価格で購入できる11インチMacBook Airの下位モデル「MD711J/B」だ。基本スペックは、CPUにCore i5-4260U(1.4GHz/最大2.7GHz)、メモリ容量は4Gバイト(1600MHz LPDDR)、ストレージが128GバイトSSDという構成になる。
比較対象としたのは、2013年6月に発売された11インチMacBook Airの下位モデル(MD711J/A)で、CPUがCore i5-4250U(1.3GHz/最大2.6GHz)であること以外は、カタログスペック上の違いはほぼない。ただし、OSは新型MacBook Airが最新のOS X Mavericks、旧型がMountain Lionになっている。また、搭載パーツの供給ベンダーが個体によって異なるため、すべてのケースに当てはまるわけではない点にも注意してほしい。以下、スペックを簡単にまとめた。
さて、CINEBENCH R11.5のCPUスコアを見ると、CPU(pt)は新型の2.56に対して、2.46とわずかに伸びている。CPU性能の向上を体感できるほどの差ではないが、動作クロックが100MHzほど高速化されているので順当な結果と言えるだろうか。一方、OpenGLのスコアは、GT3ことIntel HD Graphics 5000をCPUに統合する点は新旧同じだが、新モデルのほうがやや高いスコアをマークした。なお、CINEBENCH R15のCPUスコア(cb)は239ポイントとなった。
一方、ストレージ性能を調べるために実施したDisk Speed Testは、やや残念な結果になった。あくまでも今回試した個体では、と但し書きはつくが、リード速度が676Mバイト/秒と、700Mバイト/秒を超えていた旧モデルに比べて速度が落ちている。また、ライト速度は旧型の320Mバイト/秒に対して、新型は333.1Mバイト/秒と若干伸びてはいるものの、旧13インチモデルの452.9Mバイト/秒に比べるとやはり遅い。システム情報で確認できたSSDの型番は、それぞれ新型11インチが「TS0128F」、旧11インチが「SD0128F」、旧13インチが「SM0128F」の3種類。つまり今回の結果は供給ベンダーによる性能差と考えられ、あくまで今回評価した個体としての結果であることを改めて補足しておく。
●Windows環境下でも性能はほとんど変わらず、SSDは読み込み速度が低下
続いてWindows 8環境下でベンチマークテストを行った。新旧モデルに64ビット版Windows 8をインストールし、アップルのWindows Supportを導入している(BootCampドライバのバージョンは5.0 Build 5241)。
PC全般の処理をシミュレートするPCMark 7では、個別に見るとComputationを除くすべての項目で旧モデルが上回っているが、総合スコアは完全に横並びとなった。CPUとGPUの演算処理が多いComputationで新型モデルが優位なのはクロック分の差ともみてとれるが、総合スコアが示す通り、新旧モデルの性能差はほとんどないことが分かる。
一方、Windows環境下でSSDの性能を見るために、CrystalDiskMarkを実施したところ、こちらでもシーケンシャルリードで600Mバイト/秒を超えていた旧モデルに対し、419Mバイト/秒と大きく速度を落とした。ただ、テストデータに0Fill(読み書きデータに0のみを利用する)を用いた計測では、データ圧縮機能が有効化され、シーケンシャルリードが563.8Mバイト/秒まで伸びている(もっとも、通常の利用時でこうした処理はほぼ発生しないので参考程度に見てほしい)。なお、書き込み速度については、OS X環境下同様、わずかだが旧モデルを上回った。
以上、新型MacBook Airの気になるポイントを駆け足で見てきた。次回は測定器を使った検証や実際の使用感をレビューしていく。
[後藤治,ITmedia]