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実は粒ぞろいの価格帯?――ヘッドフォン・バイヤーズガイド2014“春” - だっぢゅニュース

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2025.09.10|コメント(-)トラックバック(-)

実は粒ぞろいの価格帯?――ヘッドフォン・バイヤーズガイド2014“春”


 耳の肥えた3人のレビュアーが注目のヘッドフォンを価格帯別に評価するバイヤーズガイド。今回は1万円から2万円のオーバーヘッド型を取り上げよう。比較的手に入れやすい価格帯ながら、ラインアップを見ると話題になった人気の製品がそろっている。しかし、人気があろうとなかろうと、あくまで自分の耳でシビアに音を判断するのが3匹の特性。その結果は?

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 その前に恒例「野村ケンジの一言アドバイスコーナー」。今回は前回の「アラウンドイヤー型」に続き、「オンイヤー型」がテーマだ。

――お待たせしました。今回は「オンイヤー型」です。

野村氏: 前回の「アラウンドイヤー型」と同じくヘッドフォンの耳に接する部分「イヤーパッド」の形状を表す用語です。オンイヤー型は耳の上にのる形状で、“ポータビリティー”というイヤフォンのメリットをヘッドフォンでも実現しようとしたもの。ハウジングを小さくして可搬性をあげた派生的なモデルといえます。カセットウォークマンの付属ヘッドフォンなどが先駆けといえるでしょう。

 オンイヤー型のメリットは、本体が小さくできて軽快、持ち運びに便利ということです。もう1つ、偶然の産物ではありますが、アラウンドイヤー型より振動板が耳の近くに置けるため、よりダイレクト感の高いサウンドになるという利点もあります。

 一方のデメリットとしては、装着時に耳の軟骨を圧迫する形状のため、長時間使用すると耳が痛くなることがあります。

――“音漏れ”についてはいかがでしょう。

野村氏: 以前は音漏れしやすい製品が多かったのですが、低反発ウレタンフォームなどを使うことで耳型に合うようになり、以前ほどはデメリットになっていません。ただし、どのようなヘッドフォンでもボリューム次第では音漏れの可能性はありますので、外出時には注意したいですね。

 そんな気配りの人、野村氏を含む今回のレビュアーは以下の3人だ。

●レビュアー紹介

●野村ケンジ(のむら けんじ)

弊誌連載「ぶらんにゅ~AV Review」でおなじみ、年間500本を超えるイヤフォン/ヘッドフォンを試聴・評価する気鋭のオーディオライター。某レーベルのアニソン・ハイレゾ配信を影で支えるスーパーバイザー兼ラブライバーでもある。

●坂井香(さかい かおり)

タレント/モデル/DJ/ヘッドフォン女子。DJ名「@KAOPANGw」(かおぱん)としても知られる。音大出身で特技はピアノ。一方、筋トレやマラソンが好きというアクティブな一面もあり、最近ついにフルマラソンを完走した。拍手。

●滝田勝紀(たきた まさき)

弊誌連載「白物家電、スゴイ技術」担当ライター。約10年間、某モノ雑誌編集部で白物家電やヘッドフォン担当として活躍した後、フリーランスに。「All About」では家電ガイドとして活動、「家電AWARD」の審査員も務める。

 3人が試聴したのは以下の5機種。価格は、Amazon.co.jpを参照している(5月2日時点)。「MOMENTUM On-Ear」のように、企画当初に比べて価格が上昇したケースもあるが、評価基準がぶれるのを防ぐため予定通り掲載したい。なお、1万9000円前後で販売しているショップも散見されるため、ショップごとの価格差の範疇(はんちゅう)と思われる。

●オーディオテクニカ「ATH-A900X」

 「アートモニター」シリーズのミドルレンジモデル。発売は2011年のため、入れ替わりの激しい近年のヘッドフォン市場ではロングセラーといえる。

 剛性の高いアルミニウムハウジングにAシリーズ専用設計の53ミリ径ドライバーを搭載し、広帯域再生と明瞭(めいりょう)な音色を目指した。ボイスコイルはOFCボビン巻。振動板に接続しているボイスコイルをOFC素材のボビン(紙状の筒)に巻き付けることで形状の安定と量を確保し、再生力を向上させた。

 独自の「3D方式ウイングサポート」に加え、イヤーパッドに上位機「ATH-A1000X」と同等のものを使用するなど、装着感も追求している。片だしのコードは3メートル。

●野村 ☆☆☆

発売してからやや時が経っているため、最新のサウンドに比較するとやや古い印象はぬぐえないが、それでもクオリティー的には決して遜色はない。いかにもオーテクらしい、明瞭度の高いシャンとした音が特徴的で、この音がマッチする人にとっては手放せない1本。

●坂井 ☆☆☆

オーテクって一般の人にとっておなじみだけど、こちらはプロ仕様のルーツを感じさせる仕様で、とても良いヘッドフォンだと感じた。装着感はとても良好だが、女性にとってはややハウジングが大きめ。ヘッドフォンの重みですり落ちることもあったのが少し残念。

●滝田 ☆☆☆☆

包み込むような装着感は非常によい。ウイングサポートが付いているぶん、このサイズ感のわりには圧迫感もないので長時間の試聴でも聴き疲れなし。高音域から低音域まで素直に音を再生する印象で、ジャンルを問わず、あらゆる音楽を気持ちよく聴かせてくれる。

●JVC「HA-MX10」

 JVCケンウッドグループの「ビクタースタジオ」が開発に全面協力したモニターヘッドフォン。スタジオのコントロールルームにあるラージモニター(大型のモニタースピーカー)の音を再現しようとレコーディングエンジニアと一緒に開発したという。

 ドライバーユニットは、40ミリ径のPET製振動板で、前面にディフューザーを配置。またスタジオで使用されるヘッドフォンは音漏れを抑えるために密閉型とするのが基本だが、密閉型特有の音の“こもり”を抑えるためにハウジングには「クリアバスポート」と呼ぶポートを設けている。

 プロ向けならではの頑丈さに加え、約260グラムという軽さも特徴だ。ケーブルは約2.5メートル。

●野村 ☆☆☆

ターゲットをしっかりと見据えた、ビクタースタジオのモニターサウンド。ソニーの「CD900ST」とはまた異なるキャラクターを持つ、ラージモニター然としたサウンドキャラクターを持つ。女性ボーカルがとにかくみずみずしく聴こえるのが素敵。

●坂井 ☆☆☆

とにかくストレートすぎるぐらいストレートな音。モニター仕様ならではの細かな音まで聞こえてくるので、とくにボーカルが前面に飛び出してきてくっきり。そして、メロディなどの輪郭もしっかり。赤と青のラインが外周に入っていて左右が分かりやすい。

●滝田 ☆☆☆☆

スタジオ仕様の渋い外観と赤青の縁取りは賛否が分かれそうだが、自分は好き。音は、とにかくまっすぐ。その音源に秘められたデータをすべて紡ぎ出す感じで、安いヘッドフォンから買い替えた人は、それまで聞こえなかった音まで聞こえてくるのでは。

●オンキヨー「ES-CTI300」

 昨年の「2013 International CES」で公開され、春に発売されたオンキヨー初のヘッドフォン「ES-HF300」。“オーディオメーカーとしてのこだわり”を詰め込んだ意欲作で、アルミ製ハウジングはHi-Fiオーディオ機器やAVレシーバーのボリュームをイメージしてデザインした。それにiPhone対応のリモコンを装備したのが「ES-CTI300」だ。

 ドライバーは40ミリ径。軽さと強度をあわせ持つチタンで振動板をコーティングすることで透明感と伸びやかさのある中高音を目指した。またハウジングにはデュアルチャンバー機構を採用して低域の量感を増している。

 ケーブルは着脱が可能で、導体には6N(99.9999%)グレードの無酸素銅(OFC)を採用している。

●野村 ☆☆☆☆

オンキヨー初のヘッドフォンにリモコンが搭載されたモデル。このハウジングサイズでアラウンドイヤーなのは素晴らしい。密閉型だけど圧迫感がない点もいい。EDMやクラブミュージックだけじゃなく、幅広いジャンルに対応できる。

●坂井 ☆☆☆☆

ヘッドフォン自体のルックスは良いが、半透明のケーブルがややチープでもったいない。音は色鮮やかで、とくにボーカルは滑らかに耳に流れ込んでくる。ヘッドフォンでオシャレをしたいクールな女子にこそ、選んでつけてほしい1本。

●滝田 ☆☆☆☆

オンキヨーという歴史のあるブランドが真面目に作った印象。サウンドはピュアオーディオの流れをしっかりと汲みながらも、ルックス面で現代的な気分もちゃんと取り込んでいる。古さと新しさをバランス良く融合したヘッドフォン。

●ソニー「MDR-1RMK2」

 ソニーが2012年に投入したプレミアムヘッドフォン(その後、ケーブルを変えてMK2に進化)。人間の可聴帯域(20~2万Hz)を超える4~8万Hzの再生周波数帯域を誇る40ミリ径ドライバーを搭載した密閉型だ。

 振動板には、高い剛性と広帯域にわたる高い内部損失を両立した「液晶ポリマーフィルム」を使用。ハウジングに設けた通気口(ポート)で過渡特性を改善する。

 低反発ウレタンフォームを立体的に縫製したイヤーパッドは柔らかく、装着したときに内側に倒れ込む構造。イヤーパッドが耳を包み込み、その外周部分だけでヘッドフォンを支える仕組みになっている。ケーブルは着脱式だ。

●野村 ☆☆☆☆

純粋に音楽を楽しませることをソニーが具現化したヘッドフォン。ポップスやジャズなど、ひたすら楽しさが伝わってくる。パシッとハマる曲が見つかった時の気持ちよさは最高! 音楽の気持ち良さをもっともっと感じたい人に。

●坂井 ☆☆☆

個人的には癒し系な音を再生するヘッドフォン。打ち込み系よりも落ちついたウィンターソングとかオーガニック、ワールドミュージックを聴きたい。街中でも多く見かけるヒット作だけど、とくにスーツなどとデザインの相性がいい。

●滝田 ☆☆☆☆

低音から高音までしっかりと音を鳴らしてくれる印象。ピアノ曲でもジャズでも、きっちりと上品に鳴らしてくれるのがいい。最新のヘッドフォンであるにも関わらず、見た目はいかにも“定番”という雰囲気を持っている点も好き。

●ゼンハイザー「MOMENTUM On-Ear」(モメンタムオンイヤー)

 ちょっとクラシカルなデザインで人気のゼンハイザー「MOMENTUM」(モメンタム)。そのエッセンスを継承し、モバイル用に一回り小さく作られたのが「MOMENTUM On-Ear」だ。

 その名の通りオンイヤータイプのイヤーパッドには高品質素材のイタリア製アルカンタラを採用。スライド部分はステンレススチール製とし、プレミアムな雰囲気を演出している。密閉型で外出時にも利用できるところもポイントだ。

 またカラーバリエーションにはMOMENTUMで人気が高かった色を取り込み、現在は全7色をラインアップ。ケーブルは左側からの片だしで、長さは約1.4メートル。アップル製品に対応するマイク付きリモコンを備える。

●野村 ☆☆☆☆☆

音だけを純粋に評価するなら、オーバーイヤーのノーマル「モメンタム」がクオリティは高いものの、このクラスでは十分すぎるほどのしっかりとした音作り。iPhoneでもプロポーションをしっかりと感じられるいい音だ。形から入っても音の良さを存分に味わえる逸品。

●坂井 ☆☆☆☆☆☆

ある意味ゼンハイザーらしくない部分が多い。音はもちろんカラーリングもこれだけバリエーションがあって質感も高い。それなのにゼンハイザーのファンが納得する上品さをしっかりと併せ持つ。音はジャンルを問わず、いい感じです。

●滝田 ☆☆☆☆☆☆

ゼンハイザーのルーツや底力を感じられる1本。カラバリも豊富で一見ポップでオシャレなルックスなんだけど、音楽を鳴らすと、ジャズでも打ち込み系でも、J-popでも楽しませる懐の深さを感じさせる。装着感も軽くて文句なし。

●まとめ

 国内メーカー各社の力の入った製品たちを押しのけ、ゼンハイザーの「MOMENTUM On-Ear」が満点をたたき出した。

 所有欲をそそるデザインや質感、カラーリングもさることながら、ゼンハイザーファンの期待も裏切らない音が高く評価され、“Good Buy”製品に選定された。

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2014.05.06|コメント(-)トラックバック(-)
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