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2025.07.29|コメント(-)トラックバック(-)

「お前はもう死んでいる」「坊やだからさ」――学術書なのにアニメネタ満載「実証分析入門」 その意図は?


 「仮説検定(1):お前はもう死んでいる」「サバイバル分析:坊やだからさ」──6月中旬発売の書籍「実証分析入門」(日本評論社)の目次には、アニメの名せりふを思わせるタイトルが各章に並んでいる。データを用いて仮説を検証する社会科学の手法「実証分析」を学生向けに解説するれっきとした専門書だが──。

 同書は、法学の専門誌に掲載していた連載をまとめたもの。各章のタイトルは連載時と同じものを書籍に引き継いだが、「専門書とは思えない」と新刊の告知がネットで話題になっている。

 「データや数式にアレルギーのある文系の学生にも興味を持ってもらえれば」――著者で東北大学大学院法学研究科准教授の森田果(もりた・はつる)さんは、ネタ満載の章タイトルの意図をこう説明。ネットで話題になることは想定しておらず、とても驚いたという。

●学術書なのに「まど☆マギ」「エヴァ」「ガンダム」……

 実証分析には数学的な考え方が必要で、文系の学生にはとっつきにくい。同書はできるだけ数式を用いずに解説しつつ、アニメなど大学生に身近なネタを絡めることで、数学が苦手な学生にも興味を持ってもらおうとした。目次は以下の通り。

 章タイトルには、「こんなの絶対おかしいよ」(魔法少女まどか☆マギカ)、「お前はもう死んでいる」(北斗の拳)、「坊やだからさ」(機動戦士ガンダム)、「私が死んでも代わりはいるもの」(新世紀エヴァンゲリオン)などアニメネタを中心に、「劇的(?)ビフォーアフター」などテレビネタ、「あなたとは違うんです」など時事ネタまで織り交ぜている。

 タイトルは「必死に考えて作った」が、うまく考えついたものと、そうでないものがあるという。気に入っているタイトルの1つは「ベイズ統計:ベイジアンは滅びぬ、何度でもよみがえるさ!」(元ネタは「天空の城ラピュタ」)だ。ベイズ統計は、批判にあって沈み、その後再発見され、また埋もれ、再評価され――と毀誉褒貶が繰り返されてきたという。まさに「何度でもよみがえった」のだ。

 「LATEと構造推定:なんでもは知らないわよ、知ってることだけ」(元ネタは「化物語」)も、うまく付けられたタイトルだ。構造推定とは、世の中を説明するモデルを作り、そのモデル通りに世界が動いていると考える、いわば「世の中すべてを知っている」前提の手法、一方「LATE」は、世の中のすべては分からないという前提で、ごく一部を切り取り、その部分だけをデータで語る、「なんでもは知らないわよ、知ってることだけ」のモデルだ。

 実は連載時、サブタイトルとメインタイトルは順番が逆だったという。「ベイジアンは滅びぬ、何度でもよみがえるさ!:ベイズ統計」「なんでもは知らないわよ、知ってることだけ:LATEと構造推定」――といった調子。書籍化する際、編集者に「メインタイトルとサブタイトルを逆にしてください」と言われ、逆にしたという。

●「まど☆マギは半分、教養」 研究者仲間からガンダムネタにツッコミも

 1974年生まれの森田さんは、北斗の拳やガンダムなどアニメに親しんで育ってきた世代だ。最近はあまり観ていないというが、「まど☆マギは半分、教養です。ネットで話題になっているし、学生が食いついてくれるかなと。最近では『風立ちぬ』や『坂道のアポロン』は良かった」と話す。

 一緒に研究している仲間にもガンダム好きが多いという。「掲載前の草稿をチェックしてもらうために仲間に回すと、『ガンダムネタを使うなら、タイトルはこう変えたほうがいい』とアドバイスしてくれました。中身にも突っ込んでほしいのに、タイトルだけ……」

●“遊んだ”論文、海外では普通

 森田さんによると、映画や歌などのネタを絡めた論文は、米国など海外ではよく見るという。例えば、ビートルズの楽曲「All You Need Is Love」の「LOVE」の部分だけを論文テーマに絡めた単語に変える――などだ。

 森田さんと友人は、日本では珍しいという“遊んだ”論文を発表してきたという。森田さんは、「ドラえもん」のジャイアンのセリフ「おまえのものはおれのもの」を使った民法の論文を書いたこともあるそうだ。

 「例えば先日、ゆうパックの遅配で、荷物のクワガタが全滅したというニュースがあった。郵便局の法的な責任を考える論文のタイトルは、映画『Lost in Translation』のタイトルをもじって『Lost in Transportation』にできる」(森田さん)

●「ネットで話題」は想定外

 同書の目次はネットで話題になり、「ひどいタイトル」と紹介されたこともある。「雑誌掲載時から、雑誌のサイトでタイトルが公表されていたので、書籍になって話題になるとは全く想定していませんでした。炎上って、こういうふうなんだなと身をもって知る、興味深い体験でした。“ひどいタイトル”は、ほめことばだとは思いますが……」

 大学生向けの専門書ながら、予約受け付けをスタートしたAmazon.co.jpでは、ベストセラーランキング100位以内をキープし、編集者も驚いているという。社会科学全般の副読本として、大学生や大学院生向けに販売していく。

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2014.06.04|コメント(-)トラックバック(-)
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